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お客様の声
アジア太平洋トレードセンター株式会社 様

アジア太平洋トレードセンター株式会社前代表取締役社長 加藤千速 様 株式会社エイル 特別インタビュー

2013年、アジア太平洋トレードセンター株式会社(ATC)の代表取締役社長に抜擢され、同社の経営健全化を託されたのが加藤千速前社長でした。
そのミッションを果たすべく、企画パートナーとしてご指名いただき、改革に取り組んだ2年半 ――実際に様々な施策を実践していく中で、加藤前社長からご覧になったエイルの強みを語っていただきました。

加藤千速
Chihaya Katou

加藤千速 様

1972年株式会社阪急百貨店入社。同社常務取締役総務本部長などを経て、 阪急オアシス代表取締役社長就任。退任後、2013年アジア太平洋トレードセンター株式会社(ATC)代表取締役社長就任、2016年6月任期満了をもって退任。

ATC加藤社長とエイルの出会い——
来場者1000万人を目指し、「イベントに頼らない」という決断

加藤前社長

当時、僕がATCの社長に就任した時の使命は、まずは「立て直し」だったんですよね。赤字を黒字に。年間650万人ほどの来場者を1000万人にすること。じゃあ年間1000万人の来場者を呼ぶためには何が必要か。それで、販促担当者が持ってきたのがエイルさんの企画書。読んでみたら「面白いやないか。これ、どこでやってるんだ」と訊ねると、「エイルさんです」と。「ちょっと一回話を聞かせて下さいや」というのが最初やったね?

エイル高谷

そうですね、もともと販促のご担当者さんとはお付き合いがあって、ATCさんについてはアクセスの悪い商業施設ということもあって、「単発でイベントをしても、その都度、都度の打ち上げ花火で、なかなかお客さんは定着しません。長期的に考えると、地元の方などに、もっと定期的に通っていただけるよう戦略的に切り替えていかないといけません」というお話をずっとさせていただいてたんですよね。そんな時に、社長が加藤社長に替わられて、お声をかけていただきました。

加藤前社長

「ちょうど20周年の節目もやって来るし、何かできないか」ってね。

加藤社長
エイル蔵所

でも我々の経験上、失礼な話なんですが、社長さんクラスの皆さまは、企画書の詳細までは目を通して下さっていないという認識だったんです。けど、後日伺ってご説明をしようとしたら、「いや、もう全部読んでるから」と加藤社長がおっしゃられて驚きました。

加藤前社長

だって一番大事な核となる話だから。隅から隅まで読んだよ。ATCとしてどうしていくべきなのかって考えた時、いろんなお付合いの中から、パートナーとしてエイルさんを見つけた。それで僕が最初に高谷さんと会った時、まず「リーシングもやる?」って聞いたんですよね。

エイル高谷

はい。でも実はその時、「社長、うちはリーシングはしません」てお伝えして。「ATCさんに今必要なのはマーケティングだと思います」とすごく偉そうなことを言いました(笑)。

加藤前社長

そうそう(笑)。はっきりと「リーシングはやらない」て言うから、「よし、分かった」と。「それだったらマーケティングだ」と。その方が絶対いい。リーシングが先じゃないんですよ。リーシングは後から付いてくるもの。最初に高谷さんと会った時、それが一番印象に残ったよ。マーケティングっていうのはどうすればお客さまに喜んでいただけるかってこと。これに向かって「ATCに何ができるのか」って。マーケティングでいくためには、エイルさん、あなた方はどういうことをコンテンツとして提案してくれますか?と答えを求めた。

エイル高谷

それが海沿い公園のリニューアルでした。「イベント的なことではなく”施設の資産”をつくり価値を高めるようなことをやっていくべきでしょう」というお話をさせていただいて。

エイル蔵所

ATCさんに入ってらっしゃるテナントさんにヒアリングしてみると、実際、土日はイベントで人がたくさん来てくれるけど、平日が非常に少ないと。テナントさんの入れ替わりも多かった。だからこそ、“施設力”を生かして、平日に子どもを連れたお母さんが毎日来てくれる、安心して寄れる、夕方にはカップルが海の夕景をみながらデートできる、そんな素敵な場所の方がいいんじゃないですかとういうご提案をさせていただいたんですよね。

エイル蔵所

ATC再建に向け実際に取り組んだ施策——
企画を最大限に生かすための“しかけ”

加藤前社長

年間1000万人を呼ぶためのコンテンツ+ATCの顔になるものをつくりましょう、ということで取り組んだのが海沿い公園のリニューアル。ターゲットは子どもを中心とした親子三世代。ATCホールの催し物は子どもを中心としたものが多いということは分かっていたから、これを原点にしながら膨らませていきましょう、とね。

エイル高谷

大規模なイルミネーションやステージ広場のペインティング、ピクニック広場の設置、ミニチュアガーデン(花壇)の展開をご提案させていただきました。

加藤前社長

そう、そしてその企画の中にはさまざまなアイデアが詰まっていた。

ATCイルミネーション
全長約400mという規模感に加え、海面に移り込み増幅する光の効果が得られるのはこのロケーションならでは。 音楽と連動したイルミネーション演出が可能で、季節感やイベントを盛り上げる重要なアイテムとしてご活用頂いています。
エイル蔵所

そうですね。実際、企画としてはペインティングや花壇をつくること自体がメインではなかったんです。花壇をつくることで、平日、種を植えるのに子どもたちに来てもらったり、お年寄りの方々に花をさわってもらったり。三世代、四世代が交流できる場をつくりたかった。さらに話題性として、メディアに取り上げられることも必要だと考えてましたから、富山・北海道・九州といった地方自治体さんとのコラボを実現しました。春は富山からチューリップ、夏には北海道からラベンダー。季節ごとに花を仕入れると同時に、先方さんにはATCさんの場所をタダでお貸します、と。そこで富山誘致の出店をしていただいたり、物販など富山のPRブースを展開していただけるようにしました。

加藤前社長

どちらにとってもメリットがあるよね。

エイル高谷

ただ業者さんを呼んでブースを構えてもらうだけなら、一方的な投資で終わってしまいますからね。

エイル蔵所

大阪では富山の宣伝をします。向こうではATCの宣伝をしてください、というような形でした。

富山県とのコラボ企画
富山県とのコラボ企画。花壇には球根出荷量日本一を誇る富山県のチューリップが咲き、期間中の立山黒部アルペンルート E〜SORA「立山パノラマバス」の展示の隣では、砺波市のシンボルキャラクター「チューリ君」や「元気とやまマスコット きときと君」によるグリーティング、切り花の配布も行われました。
加藤前社長

コラボというと他にもステージ広場のペインティングがありましたね。元はあそこはただのコンクリートで、イベントのない時は非常に寂しい状態だったのがすごく明るくなったんですよね。

エイル蔵所
あのペインティングでは、プロのイラストレーターさんとこれからプロになろとしている専門学生さんのコラボをしましたね。そこへ僕たちのお客さまでもあるアサヒペンさんにお声がけして、ご協力いただいて。企業名も出した状態で、1カ月かけて描き上げました。期間中は制作そのものが、ライブペインティングとして来場者様の注目を集め、実際お客様やテナント様からお声がけ頂くことも多かったですね。それが口コミのきっかけにもなりました。

ATCイルミネーション
下処理から最後のコーティングまで、総制作期間は2ヶ月。グラフィティアーティストMOT8さんのPOPな作画により海辺のステージの印象は大きく変わりました。
エイル高谷

結局、一つお金をかけることに対して、どれだけ複合的に有効活用できるかというところが大事なんですよね。ただ費用をかけて絵を描いたっていうのでは、それだけで終わっちゃいますからね。

加藤前社長

そういうプロセスと、企画の裏に踏まえている意図が大事なんですよ。エイルさんと仕事していると、できるまでのプロセスが全然違う。それがね、楽しくて楽しくて仕方なかったな。 だけどね、僕がエイルさんを選んだのは企画だけじゃない。もう一つ気に入ったのは何かというと、こちらから要求を出した時にリターンが早いってこと。「必ず何日までにお願いします」って期日に関しても厳しいこと言ってましたよ。でも必ず期限までに答えを持ってくる。「もう2~3日待ってください」なんて言わない。

エイル高谷

やるべきこと、今前に進めるべきことが本当にたくさんありましたからーー。

加藤前社長

でも全部やってくれた。約束をきちんと守るってこと、絶対必要だと思う。僕自身の任期が予定では3年。まず最初の1年半のうちに考え方を全部まとめて行動に移さなあかんと思ってましたから、時間も差し迫ってた。そんな悠長にしてる時間はなかったんですよ。

コンサルティングの枠を超えた存在——
優れた企画力+企画を具現化する作業工程の提示

エイル高谷

実際にいろんな企業さんとお仕事させていただいていると、私たちの仕事って「何でも屋さん」に見られる所が少なからずあるんですが、加藤社長はどう思われていましたか?

加藤前社長

確かに誤解されている部分があるんですよね。ATC内でもそうですよ。正直なところ装飾をしたり、花壇をつくったりする施工会社だと思っていた人間もいました。でも、そうじゃない。イルミネーションや花壇はあくまで付属品。収益や集客という結果を出すだめのコンテンツの一つであって、その中身はクリエイティブに富んでいる。非常に優れているのは企画力なんですよね。

エイル高谷

ありがとうございます。私たち自身も、われわれの根幹はやっぱり企画だと 自信を持っています。結果に対しての企画をすること。もともとクライアントさんがお持ちのものを生かすだけでなく、私たちがコーディネートすることで、出来ることの幅というか事業展開の幅を広げたいと常に考えています。

エイル蔵所

ATCさんの場合でいうと、どんな地方自治体と組んだらメリットが出るかなとか、どんな学校を連れてきてここを上手く利用してもらおうか、とかですね。

加藤前社長

そう、事業展開の幅を広げるための具体的なセッティングであったり、ネゴシエーションもできる。そこに加えて、エイルにはプラスαがある。このプラスαが大きな意味を持ってるんだよ。ただ単に企画するだけなら他のコンサルティング会社でもいいわけですよ。企画を具現化するための作業工程がしっかり定まっているというのが一番大きい。通常のコンサルティングは、現状を分析して課題を洗い出し、方向性を示すところまでがほとんど。じゃあ実際にその課題をどう解決していくか、それをどうやって具現化するか。本当に欲しいのはそこなんですよ。

それぞれの持ち味を生かした強力タッグ——
マーケティング力を生かした理論派の高谷
ネットワークを生かした発想力の蔵所

加藤前社長

実際、いろんな議論をしてても、その内容をきちんと整理できなければ意味がないんですよ。整理学が一番大事。いろんな形の意見をきちんとまとめて、その上で、理論的に進めなきゃなんない。そこにおいて高谷さんは素晴らしい能力を持っていると思いますよ。

エイル高谷

加藤社長からはことあるごとに「怖い女だ」って言われてましたが....(一同笑)。

エイル蔵所

僕なんて毎日叱られてます(笑)

加藤前社長

いや、そうじゃなくて。でも確かに「怖い人だよ」って言った覚えはある(笑)。高谷さんは非常にマーケティングに長けているからね。的を鋭く射る力がある。その鋭さが怖いってことですよ(笑)

加藤前社長

的を射るためには、やっぱり整理学なんですよね。どんなに議論してもあちこち飛んでたら収拾がつかない。僕らの意見や蔵所さんが発想したことを高谷さんが理論的に詰めていく。

エイル高谷

蔵所の指し示すゴールイメージに行き着くためのプランニングというか。リスクヘッジ含め、実際のオペレーションが私の仕事です。

加藤前社長

役割分担がしっかりしてるね。そこもエイルの強みなんじゃないかな。

エイル高谷

ありがとうございます。

加藤前社長

その一方で、(自治体とコラボしたり、アーティストとコラボしてみたり)蔵所さんのああいう発想はどこから来るんだろう?

エイル高谷

蔵所自身、デザイナー出身でパッケージやブースのデザイン、店舗のデザインなどまで、いろんな経験を経たことで、分野の垣根を越えていろいろ発想できるというところが強みですね。クライアントさんの業態であったり、その商品に対する既成の枠みたいなのを全く取り外したところから、新しい商品の アイデアであったり、活用方向であったり、最終のゴールイメージを発想する。

エイル蔵所

いろんな人を巻き込むのが好きなんですよね。たとえば、一方的に儲かっているところ、損するとこをつくると、どうしてもエネルギーがそこで途切れてしまいますからね。ウィン・ウィン・ウィンをつくれば、ジャンケンと同じで、永久エネルギーになるんですよね。エネルギーが永久=安定するっていうことですよね。だからやっぱりウィン・ウィン・ウィンをつくっていかないと、次にはつながらない。だからこそいろんな人を巻き込んでつくりあげていきたいと思うんです。

加藤前社長

それってやっぱり、蔵所さんの交友範囲の広さがあるからだよね。蔵所さんのネットワークは非常に広い。これはエイルさんと一緒にやっていこうと思った理由の一つでもあります。友達の友達は友達。そのまた友達。こういう形でやってるんですよね。事業を展開していくためには絶対必要だと思う。ただ、そうやってどんどんつながっていける理由の一つには、「コンテンツの良さ」があると思う。ネットワークが広くても、コンテンツが良くなかったらダメだもんね。蔵所さんは両方の才能を持っていると思いますよ。

加藤社長退任までの最後の3カ月――
「参謀」として今後の経営をサポートする存在へ

加藤前社長

公園リニューアルの成功が皮切りとなって、次々とやっていこうということになって、最終的にはATCの今後の3カ年計画をエイルさんにお願いしましたね。商業施設の活性化のための設計図。施設の資産自体はつくった。じゃあこれをどう活用していくかとうい段階に入ったんだよね。

エイル高谷

実績も積んできたし、3カ年計画に一緒に入らないか?って言っていただきました。

加藤前社長

実際に経営会議にも入ってもらってね。

エイル高谷

会議のファシリテーションをお手伝いさせていただきました。今後の3年間でどう展開していくのか大まかなスケジュールを立てたり、会議で出てきたものをまとめて、それを実際の行動計画に落とし込んだり、実現するための具体的な施策を提案したり...より戦略的な部分へ迎え入れてくださいました。

加藤前社長

トップたるものは参謀っていうのをつくっとかなきゃなんない。社長の考え方をきちんと把握して、戦略をたてて、実行に移していく存在。最後の3カ月、エイルさんにはその参謀の役割をお願いしたんです。退任までにATCの今後の方向性をしっかりと示したかったんです。参謀というのは経営において重要な役割を担っているわけですよ。そういった面においても、本当によくやってくれた。

エイル高谷

ありがとうございます。

エイル蔵所

確かに、他の企業さんでも、最初は一般的な販促でのご依頼だったのが、実際にやりたいことを伺っていると、こっちの方がいいんじゃないですか?こっちの方がいいんじゃないですか?とだんだん相談役になっていくことはよくありますね。

エイル高谷

「営業的に今後どう展開していったらいいですかね?」「今度新しく商品開発進めたいんだけど、どんな方向性がいいかな?」とうようなご相談もいただきます。

加藤前社長

そういうことですよ。どこの経営者も優秀な参謀を求めてるんですよ。正直なところATCでは心残りな部分もあったんです。3カ年計画も見届けたかった。でも任期が決まっていたからしょうがない。今はまた新たなことにチャレンジしようと考えているところです。僕が次に進めようとしている中でも、どうしてもパートナーとしてエイルさんの力が必要なんです。その時が来たら、絶対離しませんよ。